R・J・パラシオ『ワンダー』心に強く残る傑作
どうも、ピコです。
『ワンダー』読み終わりました。あぁー泣き疲れた…ブログの文は推敲しないと決めているので先に書きますが、おそらく大絶賛になると思います。
『ワンダー』
↑これ
おそらくいつも見ている方のブログで知ったのだと思います。映画は未視聴です。
感想
主人公オーガストは顔に障害をもった10歳の男の子。初めて学校に通うようになり、他の生徒たちは悲鳴をあげ、避けるようになる。だんだんとオーガストの魅力に惹かれていく同級生たちだが…というお話。
読み進めていて、こういうのってオーガストの心の葛藤や成長が描かれるのが中心かと思い込んでいましたが、お姉ちゃんや同級生たち、多視点からのそれぞれの立場、それぞれの感じ方が描かれています。10歳前後の繊細で、プライドが高く、また弱い、そんな壊れそうな心情がリアルかつ丁寧に描かれていて、本当に素晴らしい。お姉ちゃん視点に変わり、その繊細な描写が目に入った瞬間、大傑作確定でした。
この中でいじめっ子ジュリアンや、はじめオーガストをいじめていた?避けていた子たちもたくさん出てきます。でも仕方ないと片付けるのはちょっと乱暴ですが、悪かとは言い切れないと思うんですよね。10歳って日本では小学5年生くらい。思春期真っ只中で本当に心が繊細な時期。違いを認めることのできない気持ちはとてもよくわかります。続編ではそんなジュリアンの心情も描かれているそうですね。ぜひ読みたいです。
途中からオーガストと同級生の成長に涙が止まらず、度々止まらないと読めないほどでした。心に残る傑作は個人的に2種類あって、ページをめくる手が止まらないタイプか、その世界が終わるのがもったいなくて読み進められないタイプか。これは明らかに後者。最終章は涙腺崩壊確定だったので、ティッシュをそばに置いて読み進めましたが、ティッシュの山ができましたよ。
これを読んで「障害はもっと大変なことで溢れている。綺麗事ばかりじゃないか」と思う人も多数いらっしゃることは否定しません。でもいいじゃないか、小説の中なんだから。何か心を動かされるものがあったのなら、その綺麗事を綺麗だと見ることができたなら、それで楽しめたってことでいいではないですか。
障害に向かう悪意・差別
「日本では差別は欧米よりも少なくて…」ってのはたまに聞きます。国による差別の多寡は知りませんが、それはその当事者でないだけだと強く感じます。
この本でも、一瞬の驚愕の視線や避ける仕草など、ほんのコンマ数秒の矛先を向けられる描写が度々出てきます。向けられた矛先は、向けた側は無意識だとしても向けられた側は気づいており、また小さく傷つき続けています。果たして障害や人種、その他いろいろな違いに対して、自分はそんな一瞬の矛先を向けていないと言えるでしょうか?『必要だと思うより、少しだけ余分に親切に。』この本の中で出てくる一節です。誰に対しても、悪意の矛先ではなく、親切の矛先を向けることができる、そんな人間になりたいものです。
センシティブな内容なので、ここらへんでやめておきますか。
おすすめポイント
子どもたちの心理描写と成長に感動。きっと心ゆさぶられる
お子様にもぜひ
雑記
- カタカナが覚えられないので翻訳物って比較的苦手なんですよね。それでも途中から気にならなかったので、これは本当に良かったってことでしょう。
- 愛とユーモアに溢れたオーガストの家族がとても羨ましいと思って読んでた。いいなあ。
では、ピコでした。