読んだ本の記憶と記録

小説を読みます。読んだ感想を垂れ流します。

中西智明『消失!』鮮やかでインパクト絶大なミスディレクション

どうも、ピコです。

中西智明『消失!』読み終わりました。

『消失!』

↑これ

詳しく知らないですが、絶版?新品では手に入らないようなので、Kindle版のリンクを載せておきます。

感想

赤毛”と死体の消失が共通項の3つの事件。ミッシングリンクがテーマのこの作品。

この短い頁数でどうオチをつけるのかと、およそ半信半疑に近い心持ちで読み進めていましたが、なんと!あまりにも自分が思ってもいない方向へ誘導されていたことが明るみになり、愕然とする思いです。

ネタが明かされた(と思った)あとも釈然としない感があり、「このあとどうもっていくの?」と思っていましたが、まさか何重にも構えられたトリックだったとは…!このトリックが思いついたときには震えたでしょうね。ああ脱帽です。

 

コレ、気づく人は気づくんですかね?トリックとミスディレクションに関しては、表現が巧み過ぎて1回目で完全にトリックを看破するのは困難を極めるかと。

すぐに2回目読みましたが、細やかに表現に気を配ってあり、巧みな表現で騙されていたことに気づき、2回目ならではの面白さのある、とても楽しませてもらった作品でした。

 

どんな頭してたらこんなトリックが思い浮かんで、またそれを文章で表現できるんでしょうね?そちらの分野への才能が自分にはないので、まさに宇宙人の作品でも見ているかのような気分です。

と言うか、これの感想ってネタバレ抜きで書くの、極端に難しい…何を書いてもネタバレに繋がる気がして、こんな抽象的な言葉しか紡げずすみませんね。

気になった点について

面白かったのは面白かったですが何点か気になる点もあり、手放しで大絶賛もできず、ってところですかね。

  • トリックとミスディレクションに関しては一級品だけど、文章力・表現力に関してはあまりにも並。「さぞや書き重ねるごとに洗練されていくんだろうな、楽しみだ」と思って調べたら、長編これひとつきりじゃないか…
  • “鮮やかでインパクト絶大”であることは間違いないが、“美しい”かと言われるとまたそれは別。この手のトリックはいかにそこがポイントであるかを勘付かせないことにあると思っているタチだが、伏線の伏線感が凄まじく、「あ、これは誘導されてるな」と強く感じながら読むことになる。かといって、読んでる最中にどう誘導されているかは気づかないけれども。
  • 傍点多すぎない?

 

何やかや書きましたが、一度は読んで見られることをおすすめします!このトリックはなかなか他で見ることができない傑作だと思います。

おすすめポイント

あっと驚くトリックの多重構え。結末に向かう畳み掛けをどうかお楽しみに

雑記

  • 私、マジックアイできないんですよね。表紙にマジックアイ使わんでくれよ、それが一番もやもやしたわ。
  • いいところだけでなく、気になった点についても書いてみた。落としているわけでなく、本当に面白かったですので、極個人的な感想です。

 

では、ピコでした。